ドキュメンタリー

ここでは、相談事例より3つのケースを取り上げています。
事例1 担当先の財産侵害に、どう対処すればいいですか?
事例2 親の財産が勝手に使われてしまいそうで、何とかしたいのですが?
事例3 物忘れがひどい母を守りたいのですが?

事例1  
担当先の財産侵害に、どう対処すればいいですか?

在宅介護サービス事業の担当職員です。担当先のおばあちゃん(81歳)が甥を名乗る人から財産を取られそうになっていることが明白なのですが、何の権限もない私個人としては、どうすることも出来ません。かといってこのまま、見てみぬフリも出来ず、悩んでいます。甥という人は2年前から本人の家に出入りをし始めたようで、最初は何も問題がなかったのですが、半年ほど前から本人に借金を依頼して、1,000万円のお金を引き出させ、その後も200万、100万と追加のお金を借り出しています。借金とはいっても、返せる当てがあるのかどうかまったくわかりません。借用書もなく口約束だけのことのようです。さすがに本人も、これ以上は甥にお金を渡したくないと言っていますので、何とかしてあげたいと思いますが、具体的にどうすればいいのか教えてください。

回 答

おそらくは親戚ということで、お金の貸し借りについての書面も作らないまま、ずるずるとお金を渡し続けているのだと思われます。このような場合には、まずご本人の気持ちをしっかりと確認することが大切です。本当に被害を受けていると思っているのか、甥とほかに何か約束事があるのか、といったことです。本人が本当に被害と感じているようであれば、ご本人の助けとなる親族が他にいないかどうかを確認して、そういう人がいればその親族に連絡をして、任意後見制度の利用などを検討してもらうのが良いと思います。
よくあるケースとしては、甥という人が「将来の面倒を見るから」とか、「金も貸さないようなら、一切面倒は見ない」といったことを本人に言って、不安に陥れていることもありえます。ご本人の訴えをよく聞いて、状況によっては、きっぱりと縁を切る決断をしてもらうことが第一歩です。そこがふらふらしていては、相談のしようもありませんし、相談を受けた側でも処置の方針を立てることができません。あなたご自身も、そこまでの役割と割り切って、後は専門家に対処を任せるほうがよいと思います。
現在は、各市町村に「地域包括支援センター」が設置されていますので、その職員の方を窓口に、解決策を探るのも現実的な対応策となります。
地域のNPO等の団体でも、そのような対応ができる場合もあります。
財産侵害等についての法律相談は、各都道府県にある「日本司法支援センター(愛称:法テラス)」で相談にのってもらえます。経済的に余裕のない方が法的トラブルにあった時は民事法律扶助による無料法律相談を受けることもできます(ただし、利用には収入等の条件がありますので法テラスにお問い合わせください)。お近くの法テラスは「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」から探すことができます。

事例2 
親の財産が勝手に使われてしまいそうで、何とかしたいのですが?

両親は関西に住み、弟夫婦も近隣の県に住んでいますが、私はサラリーマンのため転勤を繰り返し、主に関東圏で暮らしてきました。おそらく定年になるまでこの状態が続くと思っていますが、年末に帰郷したとき、父親の様子がおかしく、単なる物忘れとは思えない言動を取ることがあるのに気が付きました。そのことで母と話をした際に、父が弟にかなりの額のお金を貸していることを初めて知りました。父は昔から弟には甘いところがありましたが、父と同じ分野の仕事で商売をしている弟からの資金援助を求められて、2~300万単位でずるずるとお金を渡してきたようで、全部で1,800万円にもなっていると聞いて仰天しました。父の認知症のことも心配ですが、それを利用して弟がさらに父からお金を引き出し、両親のこれからの生活のためのお金にも手を付けるのではないかと心配でなりません。何かこれを防ぐ方法はありませんか?私が父の後見人になればいいのでしょうか?

回 答

お話の様子では、お父様は物忘れが少しひどくなってきているものの、正常な判断ができないほどのものとも思えません。この様な範囲内にある限り、お父様がご自身の判断で弟さんに資金援助をすることを止める方法はありません。また「家族はお互いに助け合うべきもの」という法律の考え方もありますので、お父様に資金援助を止めるよう説得するのは難しいと思います。まずは弟さんも交えて、ご両親の将来の生活について率直に話し合い、これから必要な生活資金の確保や住居、介護が必要になった場合の対応など、生活のプランを作ってゆくことが必要でしょう。そのプランの中に、任意後見契約の話を含めることとし、例えば長男であるあなたが任意後見人になる形での契約締結を提案されてはいかがでしょう。ただ、これからも遠隔地での生活が続く場合に「どのような形で後見人の仕事が出来るか」といった問題が生じますので、専門家の意見も入れて現実的な対応方法を決めておくことが肝要です。

事例3 
物忘れのひどい母を守りたいのですが?

 父が亡くなってから、母の物忘れがひどくなってきました。父のお墓のことや財産相続のことなど、いまやっておかないといけないことがたくさんあります。母にその話をしたときは理解しているのですが、ひと月もたつとほとんど内容を忘れています。契約や税金のことなどをスムーズに行うためには、私(娘)が後見人になる手続きを取っておかなければならないように思いますが、どうでしょうか?

回 答

「成年後見」は、物忘れの度合いということではなく、ご本人が物事の理解度や判断力が大きく低下したときに必要となるものです。現在、お母さんがお墓のことや相続のことを基本的に理解され、それをまたすぐに忘れるというのが、一般的な記憶力の低下の範囲なのか、認知症の症状が出ているのかを、まず、専門医(病院の「物忘れ外来」など)に相談され、診断を受けておかれた方が良いと思います。
その診断が、年齢による記憶力低下の範囲であれば、判断力についての支障はあまり考えられませんので、任意後見制度を利用して、あなた(娘)が成年後見受任者となる契約書を作成しておき、近い将来に、お母さんの判断力が低下したときに、あなたが後見人として仕事を開始できるよう準備をしておくのも、対策の一つです。
もしも、認知症の症状と判断されたのであれば、法定後見制度の中の「補助」「保佐」という判断力の低下が比較的軽度の状態での制度利用方法を家庭裁判所に申請し、あなたがお母さんの「補助人」「保佐人」となって、生活面での支援を始められることをお勧めします。

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